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2009年5月24日 (日)

「リハビリトレイン」

 ED75の走行不具合の原因を検討してみました。脳卒中による片麻痺が原因なのは確かですが、健康な方の工作の中でも参考になる事例だと思いますので、ご紹介しておきます。

Center1

 リード線のハンダ付けに際して変形させてしまったのはこの部品です。床板の穴にささって絶縁するとともに、車体を水平に保つ役割も持っています。下の図はエンドウの電車の例ですが、カツミの機関車もほぼ同じ構造です。

Czukai

 リード線は図中の2mmラグにハンダ付けしますが、脳卒中の片麻痺では、リード線のような細いものがつまめなくなるのです。また、センターピンのようにバネを介するものなど、とても扱いにくいものです。感覚がなくなってしまうわけですから、これは天下の一大事なのですが、それ以上に、ある日突然歩けなくなった、と言うことの方がもっと大きいわけです。ですから、みなさん歩く練習は必死になるのですが、手の方は疎かになりがちです。手の方は筋肉の使い方も感覚も繊細さが要求されるので、復活させるのは歩く以上に困難な部分があります。

 リード線のハンダ付け、スプリングを介したねじ止めは、ごく普通に出てくる作業ですので、これを普通にこなせるようになるのを目標にしました。はっきり言って、車体のハンダ付け以上にやりにくいのです。一旦分解してハンダ付けすれば良いのにスプリング絡みが扱いにくいので、ついつい在姿のまま作業したせいでしょう。

 しかし、この小さなパーツが変形すれば、センターピンも真っ直ぐになりませんし、結局は台車が正しい姿勢を保てなくなるのです。台車のパーツのハンダ付けの不十分さがそれに輪をかけて、走行の不具合を引き起こします。

 完成の動力ユニットではありませんから、こうした部分の綿密な調整はとても大事です。原因がつかめれば後は早いですね。

Point

 ポイント通過時の不快な揺れもなくなりましたが、発車の際の出足が実にスムーズになりました。「発車後の飛び乗りはおやめください」というシーンを模型で再現するのは案外難しいものです。

もう一つの原因であった台車の組み立てについての問題点も整理してみました。

Daisha

 例えばこのブレーキ部品の場合、ロストワックス製なので台車本体にハンダ付けするのですが、どうしても変形しやすいですし、ロスト部品ということでたっぷり熱をかける必要があります。右手でハンダゴテ、左手はピンセットでパーツを押さえるわけですが、感覚が弱くなった麻痺側の手がピンセットの先のものを認識するのはなかなか困難です。正確な位置に完全に付くまで押さえておかなければなりません。結局その押さえが中途半端だったためにハンダ付けも不十分になって外れてしまったと思われます。そしてこれがスカートの裏の部品と接触して短絡していたのです。

 そうした感覚を取り戻すための訓練と言う意味合いがあったわけですが、EF64や新しい75の台車ではそれが具体的な成果となって表れました。正確な作業をするには正確な感覚や手の動きが必要です。もちろんそれが日常生活にも必須なものであるわけですから、これは非常に良い作業訓練になります。

 こうしてその都度、問題点を検討することで、完全復活へ向けての問題点も見えてきます。それを一つずつ潰して行くしかないのですが、結果が出せれば次へ向けてのエネルギーも湧いてきます。

 ブラスキットはやり直しが利くので、恐れることなくチャレンジできるというのもこうした作業訓練には適していると思いますが、この後は、素組だけでなく、ディテールの追加など、違った手の動きが求められる作業も徐々に取り入れていこうと思います。

Ressha1

 しかしまあ、同じ機関車でも走行が改善するだけで新しい機関車が来たようで、とても楽しくなってきます。「走りの品質」がいかに重要であるか、ということですね。店レイアウトでのデモ走行は、そうしたことをアピールする狙いもありますから、きちんと走るものが出来なければなりません。

Ressha2

 今日の慣らし運転の列車は、後にマニとオユが連結された編成です。この列車の客車は、退院後75とともに作業リハビリの延長で製作したものばかりなので、いわば「リハビリトレイン」というべきものになっています。当初難儀した客車の照明の調整なども、今は完璧な状態になって、白熱灯と蛍光灯の車両が入り混じった雰囲気が再現されています。 青森まで東北線をひたすら各駅に停まって、青森からユとニは連絡船で北海道へ、という往時の長距離鈍行のイメージです。  

 陽気もよくなったので、そんな客車の旅の余韻を求めて、近々また北を目指したいと思います。

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