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2008年9月 7日 (日)

16番線路の話

 店にベニヤ砂漠ならぬコンパネ砂漠のレイアウトがあるせいか、16番の線路についてよく質問を受けます。16番のレールについては、カトー、エンドウ、それに固定レイアウト専用のシノハラあたりになるのですが、供給の安定度と使い勝手から行けばカトーもしくはエンドウの道床付のものになると思います。

 レール製品がそれだけ少ないのは16番の人口が少ないからだ、とか、走らせている人がいないからだ、という話は置いておいて、では実際に走らせたときにどうなのか、と言う話をしたいと思います。

 先ずこれは当店のレイアウトです。キットを買ってくださったお客様が試運転をしたり、押入れにしまいこんでいた車両を久々に走らせたり、あるいは今日のように落雷で電車が止まって帰れなくなった時に管理人が一杯やりながら列車を走らせたりと、多様な使い方をしています。

Ressha21

 旧店舗から移転してきた時にスペースが確保できたのを機に製作したものですから、もう数年が経過しています。写真のように使用しているのはカトーのユニトラックです。これを採用したのは、Nゲージだけの問屋でも扱っているので調達が容易であるという理由でした。

 しかし、今お客様のご相談に対してお勧めするのはエンドウの製品です。それは何故か?

カトーのレールは自社のプラ製品のことしか考えていないのです。重い金属製の列車が走ることなど全く考慮していません。レールは#83を使っていてスケール感があるということですが、実際にはNゲージと資材を共有してコストを抑えただけですから、走らせてみると車輪の踏面とレールの接触する面積が狭く、そのために通電が不安定になることでスパークが発生しやすく、結果としてレール面の汚れが発生しやすくなります。

 次に、レール同士の接続に使うジョイント、カトーのものはNゲージのものと全く同じです。これでは重量のある真鍮製の列車が頻繁に走ればすぐにへたってしまいます。初期の枕木別パーツのものなど、真鍮製の機関車をディスプレイしただけで、時間とともにレールや枕木が沈没してきたものです。

Rail1

 こうして基本レールを比べてみると、カトーの方が枕木にも色が入っているし、バラストの表現もいいな、と思うわけですが、(ちなみに、エンドウの道床は塗料が乗る材質です)ひっくり返してみると・・・

Rail2

これだけ違います。まず道床の厚みや補強リブの違い、全部のレールにあるフィーダー差込口を引き通しとして利用することで通電の安定化が図れる構造だったりすることです。ジョイント部分の作りも全然違いますね。

 ポイントに関しても単純に値段だけでみれば倍以上の差があるわけですが、可動部分だけに重量のある列車がひんぱんに通過したら?と言うことを考えると、エンドウのものは値段だけの価値はあると言うことになると思います。カトーのものは基本的に片輪集電であるブラスモデルを考慮していないですから30mmもある絶縁フログなどもあって、ホイールベースの短い車両などはスロースピードで通過させるとポイント上で停止してしまいます。「右側+で前進 左側絶縁」という基本原則を無視するからこそできることなんでしょうけれど、それではカトーやトミーのNゲージと同じ構造のプラ車両だけで満足するユーザーがいるのか、というとこれは絶対に「No」だと思います。

Ressha12

 道床の補強が改善されたと思われた倍寸の直線でさえしばらく使うとこんな具合です。ジョイント部分が弱いために思い切り線路が波打っていますね。

 メーカーは,レールを作れば16番ユーザーをすべて囲い込めると考えたのかもしれませんが、決してそんなことはありません。線路と言うのは自社製品という狭い範囲だけではなく、共通規格であるからには様々なメーカーのもの、そしてスクラッチビルドのものやキット組み立てのものなど、あらゆるものが走ると言うことを考慮していなければならないのです。鉄道の基本であるレールを売るのであれば、こういった原点ともいえる部分をもっと重視してほしいものです。

 店レイアウトのレールも不具合が目立ちますので、いずれエンドウのもので敷き直すつもりです。カトーのものも、こういった点に配慮した改善がなされればお勧めできるのですが・・・。

 

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コメント

俺の18番は永ちゃんの止まらないぜは~は!🦹🏍️☠️

投稿: | 2023年1月 2日 (月) 17時52分

(引用させていただきます)--昔は百貨店の模型売り場などでも初心者が線路やパワーパックなどを始めて購入するような場合、お店の人がそういった基本知識をいろいろ教えてくれたものですが、情報伝達手段が発達した現在は何故かそういった肝心の情報が伝わりにくくなっているように思います。--

確かにその通です。 古い思い出ですが自分が16番を始めたのも百貨店でした。 線路一周とパワーパックと機関車と貨車を求めましたが、その時に求めたのが今井のP-20と600Rの金属道床の線路でした。 線路をどう敷いても1畳に収まらないので百貨店に言ったら「将来自分で車輌を作る」と自分が言ったので一回り大きい線路と容量の大きいパワーパックを進めてくれたのでした。
今はその線路はリタイアしていますが、10年以上頑張ってくれました。

以下は自分のブログで書きます。

投稿: とらやん | 2008年9月14日 (日) 06時53分

とらやん さま
 コメント有難うございます。カトーのユニトラックに関しては大体そんな評価で一致するようですが、初めて16番を手にされる方にはそういった情報が非常に伝わりにくくなっています。
 これもまた基本的な事項ではありますが、そのユニトラックのスタートセットである「HO線路セット」や「マスタープランセット」ではR=550を標準曲線に設定しています。そして、カトーだけでなく、最近の天賞堂のダイキャスト製品などもR=550を通過できると謳っているものがあったりします。ビギナーの方などは16番の最低標準曲線は550だと思ってしまっても無理ないでしょう。
 現在であれば量販店でユニトラックやプラ車両を購入し、しばらくして今度はネットオークションでブラスの中古車両を購入、届いて線路に載せてみるとうまく走らないは脱線するはで大慌てということも十分にあり得ます。通常の16番車両が概ねR=600以上を使用すると言う前提で設計されていると言うことが伝わる機会がまったくないわけですから。
 「マスタープランセット」に入っているR=490のポイントなんかは通過できる車両の数を数えた方が早いでしょう。
 「16番」というものがメーカーの枠を超えての共通規格である以上、線路を作るからには自社のものだけ通ればよいということではすまないと思います。
 昔は百貨店の模型売り場などでも初心者が線路やパワーパックなどを始めて購入するような場合、お店の人がそういった基本知識をいろいろ教えてくれたものですが、情報伝達手段が発達した現在は何故かそういった肝心の情報が伝わりにくくなっているように思います。

投稿: さがみ | 2008年9月13日 (土) 09時57分

今年の3月28日にお伺いしてお話しましたね。
当方も運転会にエンドウの線路を使用しています。 一時ユニトラックを使用したこともありましたが、通電性が悪く一度使用しただけで処分しました。 やはり自社の車輌しか考慮してないと思われます。 ユニトラック発売当初(昭和61年頃)は小型ポイントしか発売されずそのために当時汎用型だったコキ50000が通過できず淘汰され始めたコキ10000が発売されたと聞きます。
エンドウの線路はある程度の手入れさえすれば使い安い線路です。 しかし個人で使うのと運転会で使うのとでは消耗が各段位違うので当方では2年前後で更新しています。 また線路の清掃は運転会が終るごとに行っています。

投稿: とらやん | 2008年9月13日 (土) 06時49分

genta-nozzさま

 コメントありがとうございます。保管しているだけでもそんな状態になると言うことは、よっぽどヤワな造りだということになりますね。道床付きのレールはフロア運転に使うことも想定しているはずですが、その場合には、頻繁にレールの組立て・切り離しを行うわけですから、余計に反ったりする可能性が出てきます。さすがに初期の枕木別パーツのものはレールが列車の重みで沈没するということで道床一体のものになりました。後から出た倍寸の直線レールでは補強リブが追加されていますが、まだヤワな感じがします。Nゲージと全く同じジョイント(いくらなんでもこれは無理だろうと思いますが・・・)に関しては何ら改善されていませんね。今までの変更点もユーザーからのクレームで慌てて手直ししたような感じが強いように思います。ポイントに関しても一番使う6番のもの、細かい分割がなくなったのは良いのですが、フログの絶縁部分が30mmもあって、ホイールベース26mmが標準の新性能電車でもスローで入れ換えをやるとポイント上でエンコしてしまいます。江ノ電や登山電車のようなものは完全にアウトですね。
 カトーやトミーのプラ車両はNゲージと同じように両側の車輪から集電していますから問題ないのでしょうけれど、16番の車両はプラ製品だけではありませんし、一般的なものは前後の台車で左右別々の側から集電していることくらいメーカーも分かっているはずです。以前静岡ホビーショーの時にメーカーの人にそんな話をしたこともあるのですが、何だかのらりくらりと言う感じで、埒が明きませんでした。
 ストラクチャーに関しては、現実味のありそうなのはトミーテックのコレクションシリーズで16番サイズのものをやるかどうか、というあたりでしょうか。既に「母べえ」の家なんかが出ていますし、トラックコレクション、バスコレクションのシリーズにも1/80のものがあります。ただ駅のホームなどについては、トミーが16番のレールをやっていないと言うこともあって、すぐには難しいかもしれません。エンドウが予告していたプラ製ホームの話もぺしゃりましたね、当分はヤフオクあたりで昔のブリキストラクチャーを漁るしかないのかもしれません。
 余談ですが、あのブリキストラクチャー、そのままですと玩具くさいのですが、色艶の具合や繊細さに欠ける窓枠などに手を入れてやると結構いい感じになるんですよ。

投稿: さがみ | 2008年9月 8日 (月) 17時59分

おはようございます。
私もユニトラックの強度のなさに閉口しています。
仕舞いかたが雑だとそれだけで反ってきますから。
先日、久しぶりに箱から出して唖然としました。
ブリスターパックで発売しているのはその為かと勘ぐりたくなります。

KATO、エンドウ両社からストラクチャーが発売されていないのも寂しいですね。
ホームだけでなく信号や踏切りと何でも揃っているNが羨ましいです。
昔の鉄板道床の頃は発売されていましたけどね。

投稿: genta-nozz | 2008年9月 8日 (月) 09時23分

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