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2008年2月28日 (木)

客車の保存

 日本では鉄道車両の保存というとSLが圧倒的に多く、お金のかかる動態となるとなおその傾向が強くなります。それでは、動態保存のSLに何を引かせるか、となると適切な客車がない、ということになります。欧米では機関車とともにその時代にあった客車も保存されている例が多いようです。

 イベント運転のSLが引っ張るのは12系、14系というパターンにならざるを得ません。今まで行われたイベント運転で最も良かったと思われるのは、JR北海道の「C62ニセコ号」かと思います。

C623

 かつてC62重連でならした急行「ニセコ」のイメージを再現したもので、この時は残っていたスハフ44で編成を組んでいました。単に「ニセコ」の再現に留まらず、C62と同時期に製造された客車ということで、戦争の傷跡から立ち上がろうとしていた時代の姿を伝えるものでもあったと思います。

 スハフ44は43系客車のうちのスハフ42の北海道向けのもので、二重窓や歯車式の発電機が特徴になっています。北海道向けの客車については、特に戦後の43系・61系では内地のものと形式が分けられていました。この客車は、気候の厳しい北海道向けの客車の姿をも伝えていたのです。

 その後、C62は金がかかりすぎるとかで、再び眠りにつきました。スハフ44はあっさり廃車されてしまったわけですが、その後C11でSLをやることになった時には、わざわざJR東日本から旧型客車を購入することになってしまいました。しかし、ベルト式発電機、一重窓ということで、北海道形の客車ではないわけです。

 機関車と客車の組み合わせは多様ですが、そういった時代背景や地域性を考えると「最も似合う」組み合わせというものがあるのです。日本のSL動態保存は、産業遺産の保存というよりは興業的な性格が非常に強いものですから、お客があまり関心を示さない客車についてはどうしてもお粗末になってしまうのでしょう。

 そういう意味で「C62ニセコ」については残念な結果になったと思いますし、反対に大井川鉄道のSL列車は客車についても配慮がなされていて立派だと思います。産業遺産としての保存・展示を行っている鉄道博物館でさえ、一般型の客車はオハ31というやや特殊なものに留まっています。

 客車列車というジャンルそのものが風前の灯になっている現在、これは少々さびしい気がします。

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