ほのぼの 阪堺電車
静岡のホビーショウ、鉄道模型関係では車両新製品関係の他、特にカトーあたりではジオタウン関係のストラクチュア新製品に力が入っていて、単に車両を買い集めるだけではなく、レイアウトで走らせること(これはDCCとも関係してきますが)、あるいはミニジオラマの製作など、いろいろな切り口から家族で楽しめる趣味としての提案がなされているのが新鮮でした。家族で模型を買いに行った場合に、車両メインであれば、その間お父さんと息子君はいいとしても、奥さんは「早くしてよ」位の気持ちで待っているしかないわけですが、そこにちょっと気の利いたNゲージサイズのケーキ屋さんの建物でもあったらどうか?鉄からちょっと離れて単体で置物として並べておけるようなものがあれば、奥さんも目を輝かせること請け合い、というわけです。隣接ジャンルに女性向けのホビーとして「ドールハウス」というのもありますね。新作の試作品が何点かあって、廉価路線のトミーテック「街並みコレクション」とは一線を画す内容で展開していくということのようでした。ユーザーとしては建物の種類が増えてくれるのは大歓迎なわけですし、今後が大いに楽しみなところでもあります。
静岡へ行った後、久しぶりに大阪へ行ってきました。東京と同じ大都会とはいえ、街の雰囲気は全く異なるものがあります。乗り物なんかも特に日常生活に密着した地下鉄やバス、路面電車というのはその土地の雰囲気がよく現れていて興味深いものがあります。
大阪の路面電車は昭和40年代の前半には市電が全廃、後を追うように阪神の国道線も廃止されましたが、南海の軌道線だけは地下鉄とかぶることになった平野線以外が子会社化されたものの今も健在です。通天閣の下、恵比寿町から堺の浜寺駅前までの阪堺線とJR天王寺駅前から住吉公園までの上町線の2路線ですが、運転はこれに天王寺駅前~住吉~あびこ道(阪堺線)という都合3系統になっています。
大阪の電車はJRもまだまだ103系がたくさんいますし、外観に変化の少ない阪急電車などもよく見ると昭和30年代の車両が結構あったりします。ここ阪堺電車もまた古い電車がたくさん残っていて、E231系があっという間に大増殖した関東とは根本的に考え方が違うんだな、と思わせてくれます。
この電車は阪堺電車でも最古参のもので、昭和2年から製作されたモ161形です。今も何台か残っていて、街の中をごく普通に走る姿を見ることが出来ます。この164号は昭和3年の製造とのことですが、半鋼製車としては初期のもので木造車のデザインから抜け切れていない天地寸法の小さい1段窓あたりに時代を感じさせます。
東京などの路面電車よりも一回り大きく、中央に両開きドアを配した3ドアの(現在はワンマン運転なので一番右側のドアは埋め込まれていますが)堂々たる車体は大阪ならではのものです。今残っているところでは、これだけ大きいのは他に広島くらいでしょう。冷房車でもないのに19t近い重さがあります。
直接制御が当たり前の路面電車ですが、この電車は間接非自動制御ということで、同時期の他のものと比べて立派なものになっています。
車内の作りもオリジナルの雰囲気を色濃く残していて、仕切り部分やつり革の金具、ドア部分の柱など、今では考えられない凝った作りになっています。
窓の日よけも鉄板プレス製にリニューアルされているものの、今もよろい戸です。あまり日が照っていないのに日よけが出ているのは下降式の窓が「全開」と「全閉」しかできないので、走っている時に車内に風が強く入り過ぎないように、という意味です。この電車にはクーラーは勿論、扇風機もありませんから、今の時期、外の風を入れながら走るのですが、そんな電車に乗ったのもずいぶん久しぶりのように思いました。
そして、車内の製造銘板には右書きで「昭和参年」とありました。昭和2年製の車両のものは同じく「昭和弐年」という標記で、これがまた実にいい味を出していました。
銘板の下の穴は恐らく、東京などでもあった車掌乗務時代の発車合図の鐘を鳴らす紐の通っていたところだと思いますが、それも私の知る限りでは、昭和50年代初頭のワンマン化直前の頃には昔の黒電話のような「ジリン・ジリン」という電気ベル(今でも阪神電車とかにあるやつ)になっていたと思います。
しかし、今も車内にはこんな掲示があるのです。路面電車の代名詞として「チンチン電車」という言葉があり、東京などでは車掌の発車合図から来ている(現実に東京ではワンマン化後もあえて自動でベルが鳴る仕掛けがついています)といわれていますが、大阪(西日本?)では、運転台の下にあるペダルを踏むと床下の鐘が「チン・チン」となるようになっているものが多くて、それが「チンチン電車」の語源だとも言われています。
阪堺電車にはその鐘が今も健在で、電停を発車する時に横断歩道の歩行者に注意を促したりする時などに鳴らしています。今の電車の電子ホーンと同じような考え方ですね。下の写真のような場所を通る時に鳴らしたりするわけです。
路面電車特有のクロッシングをチンチンと鐘を鳴らしながらゴトゴト渡っていく光景は関東以北では見られなかったものだけに、やはり大阪ならではの独特の味わいがあります。
さてついでに、他にどんな電車があるのか、ざっと見ておきましょう。スタイル的には次の2つですが、中身の違いでそれぞれ何形式かあります。
これは最新タイプの701形で、同タイプの601形は先ほどの旧型車からマスコンなど一部のパーツを流用した更新車、ただし足回りは新製台車でカルダン駆動化されています。
こちらは昭和30年代半ばに新製されたもので、大阪市電2600形あたりと似たデザインですが、側面の窓がバス窓でなく一段下降式になっているあたりに南海臭さが感じられます。間接自動制御、空気バネ台車を履いた「高級車」です。写真の351形は吊り掛け駆動ですが、同形態の501形はカルダン駆動になっています。もう40年以上前の電車ですが、先ほどの161形などを見た後ではずいぶん近代的な車両に見えてしまいます。
大阪ではマイナーな路線ですが、電車だけでなく、沿線には通天閣に新世界、帝塚山、住吉大社など見所もいろいろとあります。車窓の風景もよき時代の大阪の面影を色濃く残していて、東京の下町とはまた違った味わいが魅力的です。終点の浜寺駅前近くの南海本線「浜寺公園駅」も明治時代の建築で一見の価値があります。これも今なお現役で使われています。
駅前の雰囲気と洋風の駅舎がミスマッチな感じですが、それが明治の昔から続いているということになるわけですね。街コレに時々含まれている、周囲からちょっと浮いてしまいそうな洋風建築の使い方のヒントになるかもしれません。
ほのぼのとした雰囲気の中に大阪ならではの味わいが感じられる阪堺電車でした。同じように見える街にも、それぞれ個性があるわけですし、そういったものを探してみることでいっそうリアルなレイアウトやジオラマが作れるようになると思います。
ネットの製品情報とかだけでなく、たまにはネタ集めの散歩なんかしてみると模型作りもいっそう楽しくなると思います。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。















コメント
はじめまして。素晴らしいブログなんで、当方のブログで
紹介させていただき、リンクを貼らせていただきました。
よろしくお願いします。
投稿: 堺屋番頭! | 2006年10月 1日 (日) 15時21分